ネパール09|7日目
朝5時に起きた。星空を見に外にでた。夜明け前が一番暗いというが、天空に満天の星空が広がる。オリオン座の左下に水星が肉眼ではっきり見える。K氏の話では、水星は、八ヶ岳でもここまでハッキリ見えないそうだ。
むかしむかしの子供のころ、田舎で見た星空を思い出した。そのころの田舎の夜空もこれに負けないくらいギッシリと銀河の降り注ぐ美しいものであった。
5時30分ミルクティーとリンゴ、クッキーで朝食。6時30分出発。
ここからジョムソムまでの帰路は、1日で下れる。7時ジャルコット着。
行きに寄れなかった、チベット仏教寺院に行く。村の迷路のような路地、石と泥の家並み、家の中から朝食の支度の様子がかまどの煙の匂いと共に伝わってくる。狭い路地で牛やヤクと行交う。いつの間にか、むく犬が我々について来る。先頭の人と一緒になって、どこまでもついてくる。寺院への道に迷った我々に「こちらですよ」と案内人を買って出たような犬に見えた。
寺院の扉を坊さんに開けてもらう。制作年代の違う2対の釈迦の仏像を見た。寺院には、ダライラマの写真が飾ってあった。古い仏教経典を見せてもらった。やはり、ここらの坊さんは、インドに亡命中のダライラマのところに修業に行くらしい。
7時45分にジャルコットを出発。先ほどの犬にはお礼のパンをあげた。犬は村外れまでついてきた。
美しいジャルコット村に何度も振り返って別れを告げた。
↑犬に注目
8時15分、リンゴを食べたキンガア村に到着。村外れの道路の中央にある大きな仏塔で休憩。ムクチナートとジャルコットが一望できる。先には、これから行くカクベニとエクレ・バッティーの分れ道が見える。
休んでいると、ムクチナートの寺院の中に入って参拝していた人が、馬に乗って、子供とやってきた。ガイドのドゥルガ氏に馬上の彼と交渉してもらい、K氏と私は、峠の別れ道まで、150ルピーで馬に乗せてもらうことにした。彼らは、ムスタンの人だそうである。
子供は、私の馬をひきながら、サービスのつもりか、歌を歌ってくれる。「小諸出てかーら」と馬子歌を聞いているような、節回しに思えた。一生懸命、照れずに歌う。
テレビや、ラジオも聞かないこの世界で楽しみは、やはり歌かな、と考えた。
30分かかった。ここでムスタンの人と別れ、エクレ・バッティーに向かう。馬上のムスタンの2人はアッという間に見えなくなった。
下にエクレ・バッティが見える
10時40分、エクレ・バッティに到着。往路でも休憩したヒルトンホテルで昼食。
11時30分、出発。ガイドは、風が吹き始まる前にジョムソムに到着できないのではないかを心配している。
2時15分、ジョムソムに到着。
POLICE CHECK POST に寄ってサインをし、ホテルに。
6時までフリーで買い物に行く。
この国では買い物は、百戦錬磨の売手との決闘である。あるものを店で見て値段を聞くとする。返ってくる値段は4、5倍から10倍にまでなる。欲しそうな顔をすれば、値は下がらない。その昔、日本の露天商との駆引きの感覚だったら、馬鹿にするな、と怒られそうな金額を提示することから始めなければならない。実際、日本円に換算すれば、たいした値段の買い物ではないので、言い値でもいいや、と一瞬思うのであるが、これは、戦いである。負けたら悔しい、気分が悪い、敗北感を味わうことになってしまう。これまでの苦い経験を参考に、知恵を駆使して、交渉に望むわけである。原価は相手のみが知っている、分の悪い戦いである。結局、仲間が買って来た価格より高いと売手に負けた気分になる。
ずいぶん、店を冷やかして歩いた。欲しそうな顔をしたり、帰る振りをしたり、交渉打ち切りのメッセージを送ったり、あの手この手を使って、値段の上限、下限を計った。
やっているうちに、面白いゲームにのめり込んでしまったような気分になった。
この夜、ロッジでは、目的のトレッキングも無事終了し、地酒のロクシーを飲みながら楽しい一時を過ごした。15歳のポーター君は、ネパールの流行歌を披露してくれた。その歌は、カトマンズのレストランの楽団がしきりに歌っていた歌で、聞き覚えがあった。この子も、照れずに、気持ち良さそうに歌っている。
我々は、アンコールをした。
それに答えて数々の歌を披露してくれた。ガイドのドゥルガ氏も、一曲恋歌を披露してくれた。ここのロクシーは、とても美味しく、食事をとりながら、たくさん飲んだ。
ついでにペットボトル等に詰め込んで、お土産にした。
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