骨酒01|イワナの骨酒

イワナ釣りをやる、というと半分以上の人が、イワナの骨酒ってうまいんですってね、と言う。

魚釣りの好きな人は、おそらく、ほとんどが酒飲みだと思う。

イワナを始めてまだ間もない頃、松本のTさんも「イワナの骨酒はうまいですよ。いつか上高地の嘉門次小屋へ行ったら、イワナの骨酒を1500円で売ってたけれど、えらくうまかったから」と言った。

ならば、とイワナ釣行の前日に、日本酒とキャンプ用の固形燃料と金属コップを買い込み翌朝、これらをザックに詰め込み、安曇野の真ただ中、北アルプスの常念岳から流れ出している烏川へ向かった。

確か五月の初旬で、途中から雨が降り始め、やがてミゾレになり、身が凍るほど寒かった。信州の五月はまだそんな季節だ。

幸いすぐに放流サイズすれすれのイワナが数匹釣れたので「それっ」とばかりに骨酒の準備にかかった。

固形燃料で10分ほどイワナを焼いて、金属コップに日本酒を入れ、まだかまだかと沸かしにかかった。適当にイワナが焼け、日本酒が温まったところで、コップの中にイワナを入れて・・・・・・。

ほんとうなら、ここでジュッといっていい香りがするところだが、思うようにいかない。

ままよと、イワナの浸かった日本酒をグイッとやってみた。

・・・・・・生臭くて飲めたものではない・・・・・・。

嘉門次小屋の骨酒は、イロリの遠火で何時間もかけて焼き、油気を全部取り去り仕上がったものに、熱燗の日本酒をかけて飲むものだ。固形燃料でチョット焼いたくらいで、日本酒を入れたものなど、生臭いのはあたりまえだと反省する。

イロリのない我々にとって、うまい骨酒の作り方をその後おぼえた。

まず、釣って来たイワナにうすく塩をして、ぬめりを取り塩焼きにする。

つぎに、細い小骨をこわさないようにていねいに身だけを食べる。食べ終わったら弱火のガスコンロで遠火にして文字どおり骨だけになったイワナを注意深く焼く。

この時は、その場を離れてはいけない。

骨がうす茶色に焼けたら、そっとドンブリに移し、熱燗(あつかん)を注ぐ。

これで本当のイワナの骨酒のできあがり。

適当に塩味のついたイワナの骨酒は絶品だ。

イワナなど身近にない折、小アジでやってみてはいかが・・・・・・。

トーク・パル 加藤隆夫の趣味と雑記の『五感を震わす快楽』

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