ウイスキー01|スコットランドの6つの地域

シングルモルトウイスキー(以後シングルモルトと記載)への興味・傾倒は、1900年代にスコットランドを訪れる機会があったことにその端を発している。それまではウイスキーを結構飲んでいたがそれはブレンディットウイスキーであった。なぜならシングルモルトを意識していなかったし、巡り会うチャンスもあまりなかったように思える。具体的に飲んでいたものは、国産ウイスキーは別にしてジョニーウlォッカーの黒、赤、オールドパー、ホワイトホース、シーバスリーガル、バランタイン等であり、特にジョニ黒については全ウイスキーの中で1番最高(高価)という固定観念をかなりの長い間持っていた。


最初にスコットランドを訪れたた時、カンバノールトと言う町の1軒屋のレストラン「GLEN SKIRY」に案内されそこで「このスコッチは美味しいよ。是非」と言われて勧められたのが「BEN NEIVIS」というシングルモルトであり、その時の風味のある美味しかった感覚は今でも鮮明に記憶に残っている。そこのレストランのスコツトランド料理に合っていたこともあるが、あまりの美味しさに私の前の席にいたスコッチ好きのT君と2人でこの「BEN NEVIS」を2時間位で1本空けてしまった。


シングルモルトの名前も日本酒と同じく山、川、谷とか地名から名付けられたものが多く、この「BEN NEVIS」もイギリス(ブルテン島)で1番高い山のベンネービス山(1344M)の名前から取っている。ここでウイスキー(スコッチ)の歴史を紐解いてみよう。「ウイスキー」という言葉は「生命の水」を意味するケルト語の「ウスケボー」が由来のようです。蒸留技術の進歩により,アルコールという不思議な効用を持つ物質を抜き出して作った液体、いわゆる蒸留酒というアルコール分の高いウイスキーの誕生となった。アイルランドまたはスコットランドのケルト文化圏で生まれたウイスキーは、16世紀後半にはスコットランドで地酒として飲まれるようになった。紀元前から飲まれていたビールやワインに比べるとかなり後発である。18世紀になって連続式という新しい蒸留技術が開発され、また原料も大麦以外にトウモロコシを使ったグレンウイスキーが誕生し、更に18世紀後半になり従来のモルトウイスキーにこのグレンウイスキーをブレンドしたブレンディットウイスキーが造られるようになった。このブレンディットウイスキーの誕生によりスコットランドの地酒にすぎなかったウイスキーが世界に広まって行くようになった。こうしてブレンディットウイスキーはクセがなく口当たりが良いため世界で飲まれるようになったが、反面ウイスキーらしさが貧しいと言われた。このウイスキーらしさについては明確記述することは困難を要するが以後の文中で触れて行きたい。


ウイスキーは世界的にはスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本の5つの生産地となっている。アイルランドとスコットランドは発祥の地であるが、それ以外のカナダ、アメリカ、日本は発祥地から何らかの形で製法を移管され独自に作り上げたものである。特にアメリカのトウモロコシを原料にしたバーボンはシングルモルトに匹敵する私の好きなウイスキーとして挙げられる。このバーボンについてはこの特集以外に文章をあらためて書きたいと思う。


それでは私の好きなシングルモルトに入って行きたい。シングルモルトを製造しているスコットランドは大きく6つの地域に分かれており、各々の特徴を有して優劣がつけ難い。全体的には約110の蒸留所があり、その内約50がグランピアン山脈の源を発し北海へ注ぐスペイ川流域に集中している。6つの地域はは次の通り。


(1)スペイサイド

ハイランドの一部であるがスペイ川流域に蒸留所が集中している地域。豊潤でエレガントな風味とキレの良いピート香が特徴。


(2)ハイランド

スペイサイドを除くハイランド全域でエリアも広い。スパイシーなものからフルーティーなものまで幅広い。


(3)アイランズ

1番北の地域で、スカイ島、オークニー諸島他に分布。厳しい自然に磨き抜かれた風味。


(4)アイラ

西側の海にあるアイラ島に点在、どの蒸留所も風光明媚で一見の価値有り。海の香りを閉じ込めたスモーキーでヘビーな独特な味わい。


(5)キャンベルタウン

キンタイア半島の先端の町キャンベルタウンにある蒸留所。ピートの香りは強いが口当りはマイルド。


(6)ローランド

ハイランド以南の南部地域。ピートの香が控えめの口当りのやわらかくスコッチの中で最もライト。

(注)ハイランドとは緯度の高い所の総称で、具体的には北緯56度線より上(北)がハイランド。ちなみに樺太より更に北にあるカムチャッカ半島と同位置。


第1話はこの当りで筆をおいて次回の第2話はなかなか甲乙つけ難い「私の好きなシングルモルト」に触れて行きたい。

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